「新患を増やしたいので、Instagramを始めたほうがいいですか?」
「広告を出せば、もっと予約が入りますか?」
集患を考えると、最初にこうした“方法”が気になると思います。広告、SNS、チラシ、ポータルサイト。選択肢はたくさんあります。
私自身、最初のうちは、できることをできるだけ試してみるのはよいと思っています。ただ、何も整理しないまま施策を増やすと、お金も時間も使ったのに、何が足りないのか分からなくなることがあります。
まず確認したいのは、医院を知られていないのか、知られていても受診に必要な情報が足りないのか、それとも予約や受け入れに課題があるのかということです。
この違いによって、先に取り組むことは変わります。
「新患が少ない」だけでは、取り組むことを決められない
新患が少ないという結果は同じでも、その手前で起きていることは医院によって違います。
例えば、次の三つを考えてみてください。
| 状況 | 先に確認したいこと |
|---|---|
| 医院の存在を知ってもらう機会が少ない | 地域への案内や、検索した人が確認できる情報 |
| ホームページは見られているが、問い合わせが少ない | 診療内容・通院条件・予約方法が分かるか |
| 問い合わせはあるが、予約を受けられていない | 希望時間と予約枠、受付の案内、受け入れ体制 |
これは判断を整理するための例です。ホームページを見られているから説明が悪い、とすぐに断定できるわけではありません。
ただ、問い合わせが来ているのに希望する枠が取れない状況で、広告だけを増やしても、同じところで受け入れられないかもしれません。
反対に、受け入れ枠も案内も整っているのに、医院を知る機会が少ないなら、告知を増やす意味があります。
「何を始めるか」の前に、今どの段階に課題がありそうかを考える。それだけでも、施策の選び方は変わります。
増やしたいのは、どんな予約なのか
「新患を増やしたい」という希望を、もう少し具体的にしてみます。
ここで整理したいのは、年齢や性別だけではありません。
- どのような相談を受け入れたいのか。
- どの曜日・時間帯なら対応できるのか。
- 初診の説明や診療に、どのくらいの時間を確保するのか。
- 予約が入った後、誰がどのように対応するのか。
例えば、平日の昼間には初診枠がある一方、夕方は通院中の患者で埋まっている医院があるとします。
その医院が「仕事帰りに通いやすい」と強く発信しても、実際に仕事帰りの予約が取れなければ、患者の希望と医院の状況が合いません。
別の例として、初回に院長が時間をかけて相談を聞く医院なら、短時間の初診枠を大量に増やすことは、診療方針に合わないかもしれません。
広告で呼びかける内容は、実際に提供できる診療体制と合わせる必要があります。
私は、他院と同じ受け入れ方をする必要はないと思っています。ただし、自院で何ができて、何ができないのかは、先に理解しておきたいところです。
私なら、Googleビジネスプロフィールとホームページを最優先する
集患の土台として、私が最初に整えたいのは、Googleビジネスプロフィールとホームページです。
医院に興味を持った人が、場所や診療時間、診療内容を確認する入口になるからです。
広告を見た人も、知人から紹介された人も、その情報だけで予約するとは限りません。改めて医院名を調べたり、ホームページを開いたりすることを想定しておきます。
そこで情報が不足していると、せっかく関心を持ってもらっても、判断の材料を渡せません。
確認したいのは、単に住所や電話番号が載っているかではなく、初めて見る人が、実際に通うための情報として理解できるかです。
例えば、次のような点です。
| 掲載している情報 | もう一歩確認したいこと |
|---|---|
| 駅から徒歩○分 | どの出口から、どの道を通るのか |
| 駐車場あり | 場所、利用できる区画、入口は分かるか |
| 診療時間 | 最終受付や初診の受付条件も分かるか |
| Web予約 | 初診で使えるか、送信後に予約が確定するか |
| 診療内容 | 自分の悩みについて相談できるか分かるか |
医院側にとっては当たり前のことでも、初めて来る患者には分かりません。
「駐車場はどこですか」「今日診てもらえますか」と繰り返し聞かれるなら、それは患者が必要としている情報の手がかりです。
受付で説明していることを、受診前に確認できる形へ整理する。新しい広告を作る前に、できる改善があります。
患者が何を確認したいのかを、受診理由から考える
ホームページに医院の特徴をたくさん載せても、それが今知りたい情報でなければ、患者は判断しにくいと思います。
例えば、痛みがあって受診先を探している人には、設備の詳しい紹介より先に、今日相談できるか、何時まで診療しているか、どう連絡すればよいかが重要になるかもしれません。
一方、自費治療を検討している人なら、治療内容に加えて、費用や通院の目安、選択肢などを確認したい場合があります。
同じ医院のホームページでも、読む目的は違います。
そのため、最初の画面にすべての情報を詰め込むより、患者が自分の目的から進める入口を用意します。
「初めて受診する方へ」
「歯の痛みなど、お困りの方へ」
「治療について詳しく知りたい方へ」
こうした分け方が自院に必要かを考え、実際の診療内容に合わせて案内します。
大切なのは、医院が伝えたい順番だけで構成しないことです。患者が確認したいことから、情報の優先順位を見直します。
予約ボタンを置くだけでは、予約の案内は完成しない
Web予約を導入すると、予約の課題が解決したように感じるかもしれません。ただ、患者が迷わず使え、院内でも対応できるかまで確認する必要があります。
スマホで、自院のホームページから予約画面へ進んでみてください。
初診で選ぶ項目は分かるでしょうか。相談したい内容に合う選択肢はあるでしょうか。希望日時を送るだけなのか、その場で確定するのかは明確でしょうか。
予約後に医院からの連絡が必要なら、その方法や案内も確認します。
また、Web予約に出している枠と、受付で案内する枠に違いがある場合は、患者が混乱しない説明が必要です。
痛みがある患者に電話で状況を聞く運用なら、その連絡方法を目立つ場所へ案内することも考えられます。
私は、高機能な予約システムを導入すればよいとは思っていません。自院に必要な機能を理解し、患者と受付の両方が使える方法を選ぶことが大切です。
土台を整えたうえで、できる施策を試す
ここまで確認したからといって、すべてが完璧になるまで広告やSNSを始めてはいけない、という意味ではありません。
私も、最初のうちはできることを試してよいと思います。ただし、施策ごとに何を補いたいのかを決めておきます。
例えば、近隣に医院の存在を知らせたいなら、チラシや地域への告知を検討する。院内の雰囲気や日々の案内を届けたいなら、SNSを使う。特定の治療について検討している人に情報を届けたいなら、関連するページと告知方法を考える。
既存患者に当日の空き枠を知らせるなら、公式Instagramのストーリーズを使う方法もあります。ただし、対象となる診療、連絡方法、情報を出した時点を明確にし、受付と共有します。
同じ媒体でも、目的は違います。
「Instagramをやっているか」より、「Instagramで何を伝えるか」を決めることが必要です。
すべてを他院と同じようにやる必要はありません。運用する人、確認する人、用意できる素材まで考え、自院で続けられる形を選びます。
試したことを、次の判断に使えるように残す
施策を始めたら、最低限、次の内容を記録します。
- 何を目的に始めたか。
- いつ、何を公開・変更したか。
- どのくらい費用や作業時間を使ったか。
- どのような問い合わせや予約につながったか。
- 患者や受付から、どんな質問が出たか。
最初から複雑な分析表を作る必要はありません。短い記録でも、何を変えたかが残っていることが大切です。
例えば、チラシを配り、ホームページを修正し、広告も始めた場合、新患が増えても、どれだけが一つの施策の効果かを判断するのは難しくなります。
同時に始める必要があるなら、その条件を残します。可能なら変更を分け、後から確認しやすい形にします。
そして、問い合わせが増えたのに予約へ進まなかった場合は、その理由にも目を向けます。希望時間が合わなかったのか、相談内容が対象外だったのか、案内が分かりにくかったのか。
次の広告を追加する前に、今起きていることから改善を考えたいところです。
まずは一つ、患者が迷っている場所を直す
集患の土台を整えると言っても、ホームページを全面的に作り直したり、予約システムをすぐに買い替えたりする必要はありません。
受付でよく聞かれる質問を三つ挙げ、その答えが受診前に見つかるか確認する。それだけでも、最初の作業になります。
診療時間が媒体ごとに違うなら、まずそろえる。
駐車場の場所が分かりにくいなら、案内を補う。
予約方法が曖昧なら、初診の流れと一緒に説明する。
患者が迷っている場所を一つ直し、次に何を知らせる必要があるかを考える。この順番なら、新しい施策にも役割を持たせやすくなります。
新患が増えたら、うれしいし、安心します。ただ、その人数だけで満足せず、来院後に無理なく診療を受けられる体制も見ていく必要があります。
集患を、施策の数を増やす作業にしない。患者が必要な情報を得て、自院が実際に対応できる受診へつながるように整える。
私は、そこから始めることが大切だと考えています。


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